この記事を読んでいただくことで、バレエコンクールのメリットとデメリットを把握することができます。
お子さんのバレエコンクールとの向き合い方を考えるきっかけになります。
地元である小規模なコンクールです。
親としてはまだ早いんじゃないかな~と迷っています。
トゥシューズを履き始めてまだ1年足らずで、週4回のレッスンです。
同じ年の生徒さんは何人か出るようです。。
コンクールに出るメリットやデメリットが知りたいです。
長女と次女で多少違いますが、小4で1~2回、小5で2~3回、小6で3~4回と年齢が上がるにつれて増えていったように思います。
思い返すと、小学校時代のコンクールはあまり出る必要はなかったかな~と思いつつ、ただ全く無意味ではなかったとも思っています。
バレエコンクールは、以前に比べるとかなり増えていて、
毎月全国のどこかで開催されていますよね。
ここでは、バレエコンクールに出るメリットとデメリットを親からの目線を中心に、
勝手に考察してみました。
バレエコンクールに挑戦中、もしくは今後バレエコンクールに出ようか迷っているお子さんをお持ちの保護者の方の参考にして頂けたら嬉しいです。
バレエコンクールのメリット
確実に踊りがレベルアップする
バレエコンクールに出場することが決まると、コンクール用の特別レッスンを受けることになります。
レッスン量が増えますし、一つのバリエーションを徹底的に踊り込みますので、
できなかったことができるようになったり、ひとつひとつの動きがしっかりしてきます。(素人表現ですみません)
間近に目標ができる事で、日々のレッスンも頑張るようになります。
またコンクールでは、先生への評価(優秀指導者賞など)もあったりするので、細かなところまでみてもらえます。
バレエを頑張るモチベーションになる
技術的に上がってくると本人も嬉しくなりますし、自信もつきます。
どんどん頑張るようになり、バレエのレッスンに対するモチベーションが飛躍的に上がります。
レッスンも楽しくなっていくようです。
また、次のコンクールに向けて頑張ろうといった目標もできたりするので、ますます良い循環が生まれるように思います。
舞台で踊る経験をできる
バレエコンクールでは、舞台上で審査員の前でバリエーションを踊って審査して頂きます。
(中には、クラスレッスンなどがあるコンクールもあります)
バレエは舞台芸術ですから、舞台で踊ってお客様にみて頂くことが最終目的です。
その舞台上でパフォーマンスを経験できることはとても意味のあることだと私は思います。
舞台を独り占めして踊ることができる
バレエコンクールではほとんどの部門が一人で踊ります。
大きな舞台上でひとりで踊る経験は、発表会ではなかなか経験できるものではありません。
(特に小学校のうちはほぼありません)
ほんの2~3分ですが、出番前に緊張したり、踊り終えた後にほっとしたり、
この経験はとても大きいです。
確実に舞台度胸がつきます。
親としても、こどもの晴れ姿が見れる
親のほうも、子どもが舞台でひとりで踊っている姿はとても誇らしく見えます。
発表会では大勢の中のひとりになりますが、コンクールでは子どもがひとりで踊ります。
小さいバレエダンサーを応援している気分になります。
とはいえ、子どもが踊る前から親の方が緊張してるっていう話はよくバレエママ友としていましたね。
時間管理が上手になる
バレエコンクールに出場が決まると、それまでの期間はいつも以上忙しくなります。
日々のレッスンが終わる時間も遅くなります。
学校生活や宿題などのお勉強との両立も、計画的にしていかないと時間が足りません。
特に中学生以上になると、定期テストもあったりしてますます時間管理が必要になってきます。
小学生のうちからそのような時間管理をする習慣がついていると、中学生以降もパニックにならず計画性をもって過ごせるようです。
自己管理をするようになる
時間管理にも通じますが、自分で目標を定めてああしようこうしようと考えるようになります。
例えば、
今までは家ではストレッチなどしてなかったけど毎日お風呂上りにするようにしようとか、
コンクールレッスンで先生に指摘されたところは、次回先生にみて頂くまでにできるようにしておきたいから自習をしようとか、
コンクールまでに体重を1㎏落とそうとか(ジュニアはここはマネしないでくださいね)
などなど、それぞれの目標に応じて行動するようになります。
バレエコンクールのデメリット
そもそも芸術に点数を付けて順位を争うことが必要なのか問題
バレエは舞台芸術なので、スポーツのように点数を付けるのはどうなの?という意見は以前からあります。
とはいえ、音楽でも絵画などでもコンクールは昔からあります。
コンクールがあることで相対的にレベルが上がっていくというのはよく聞く話。
バレエもしかりです。
特にクラシックバレエは、型が決まっているから審査しやすい(語弊があったらすみません)のかもしれませんね。
全日本バレエコンクールのホームページに載っていた、1983年の第一回開催時の初代会長の服部智恵子先生のお言葉が、わたし的にとてもしっくりきたのでここに載せさせてもらいますね。
「バレエに限らず芸術というものは、本来、作る人自身の喜びであり、またそれを見る人が楽しむものであって、技を競い合うようなものではありません。
まして順位をつけて、人が人を審くようなことをするのは恐ろしいことです。
しかし、作る喜び、見る楽しみを一層大きくすることは誰しも望むところです。
そのためにはより充実した技術を身につけること、強い精神力が必要でしょう。
そこでどんな芸術の世界でも、その技術と精神の充実向上のための刺激のひとつとして、コンクールやコンテストが行われているのだと思います。
私たちはこの全日本バレエ・コンクールを通じて、バレエの神様に愛されている者、また、今は愛されていなくとも、バレエの神に愛されようと一生懸命努力している者、そして外見だけでなく、心の底から踊り、しかもバレエ美学のきびしい制約に耐えて、常に折り目正しく演技する者、そういう若いダンサーを何人か発見することができたならば、これに勝る喜びはありません。」
また、ドイツで活躍されている声楽家の車田和寿さんの動画を最近観て、とても興味深く参考になったので紹介しますね。
音楽とバレエといった違い分野ではありますが、芸術という共通する部分もあって共感したところも多かったです。
ハードな練習による体への負担リスク
コンクールでは、ソリスト級の踊りを繰り返し練習します。
つまり、同じ動きを繰り返し行うということ。
成長期にこれをしてしまうと、後々身体への負担が増すことは確実です。
外反母趾、股関節やその他関節への負担、側弯症など、娘の周りでも聞いたことです。
娘自体も、腰を痛めて半年、一年と棒に振った時期がありました。
なので、あまり小さいうちから、トゥシューズを履いてハードなレッスンは避けた方が良いです。
YAGP(ユースアメリカグランプリ)2017日本予選にて、コンクール参加者やその関係者に向けて行われた、審査員による特別レクチャーの内容はとても重要なものと思いますので読んでみてください。
(新書館ダンスマガジン2017年3月号)
学校生活とのバランスが難しくなる
コンクールレッスンが始まると、だいたいが通常レッスンの後にそれを行ったり、
土日にコンクールレッスンが入ったりと、レッスン量が大幅に増えます。
すると、今までスムーズだった学校生活やお勉強との両立が難しくなることがあります。
ただここは、上手に調整して乗り切っていくしかありません。
親としては、送迎や食事の管理など、過保護になりすぎない程度にフォローすることが必要かと思います。
良くない結果で精神的に落ち込むことがある
コンクールである以上、点数が付きます。
思っていたより結果が良くなかった場合、本人も親も落ち込みますよね。
ただ子どもは、その子によるかもしれませんが案外立ち直りが早いように思います。
むしろ親の方が引きずるかも。。
お金も出してますしね。。
当時の自分も、そんな時はなんだかな~な気分でした。
ここはむしろ子供を見習うべきかもしれません。
家庭の経済的状況が悪化する
これは大きな問題です。
ひとつのコンクールに出るには最低でも10~15万円は必要です。
遠方のものや長期間のコンクールを選べば、交通費や宿泊費も必要になってきます。
年に何回も出るようになれば50万、100万と諭吉様(2024~は栄一様)に羽が生えて飛んでいきます。
ここはしっかり財布の紐(今時そんな財布無いけど)を締め直す必要があります。
コンクール費用についてはこちらの記事もおすすめです。
かかった費用と結果が伴なわないと親も疲弊する
そして、結果だけを見てしまうと、かけた費用に伴わないことも多かったように記憶しています。
自分の事であれば納得できることも、子どもの事なのでどうすることもできずモヤモヤがたまりがちに、、、
これはもう自分でどうにかするしかありません。
コンクールにエントリーすると決まった段階で、結果を期待しない。
子供が頑張ったことにフォーカスする。と自分に言い聞かせましょう。
かくいう私は全然できてませんでしたけどね。。
ここは親としての度量が試されていると思って前向きにとらえるのみです。
教室運営者の財源確保になっている場合もある
良心的なお教室がほとんどだと思いますが、教室の財源になっていることもまぁまぁあるようです。
もちろん特別レッスン、個人レッスンになりますから、レッスン料をお支払いするのは当然のことなのですが、あまりにも高い指導料やお礼などはどうなんでしょう。
小学校低学年の子供にコンクール出場を促すような教室は避けた方がよいのではと個人的には思います。
子どもの人数自体が減っている現在、通常のレッスン代だけでは運営が厳しいところも多いでしょう。
教室を選ぶ際にはそのあたりの事も確認できるとよいのですが、ここはなかなか難しいかもしれません。
先生の方針に疑問を感じる、納得がいかないなどの場合は移籍も視野に入れてもよいかもしれません。
コンクールのレベル、目的や主旨を確認しよう
バレエコンクールは、バレエに携わるいろいろな組織が主催されていますが、
レベルも、主旨や目的もいろいろです。
中には教室でエントリーするコンクールを決めているところもありますし、
レベルに関しては教室の先生に確認するとよいでしょう。
また、上のクラスの子供たちが出ているコンクールなどを知って調べてみるのもおすすめです。
親としては最低限、そのコンクールの主旨や目的をきちんと確認したほうが良いと思います。
さらに、審査してくださる先生方の経歴や、海外バレエ学校のスカラシップや入学許可などがあるか、そのコンクールで以前に入賞された方の現在なども確認してみてくださいね。
このコンクールって意味あるのかな?と思ってしまうようなコンクールも正直あったりします。。(言っちゃった汗)
興味を持って調べてみると、いろいろと見えてきますよ。
バレエ留学に繋がるとは限らない
最近では、海外バレエ学校の入学許可やスカラシップを頂けるコンクールも増えているようです。
ただ実際は、一つのコンクールでスカラシップをもらえるのはほんの数名という場合がほとんどです。
我が家もそのようなコンクールに出たことありますが、スカラシップをもらえる子には一定の条件があったように思います。
ここでは詳しく述べませんが、ジュニアの場合は一定の条件プラス伸びる可能性がある子が選ばれていましたね。
チャレンジすることは悪いことではありませんが、留学を希望している場合、
コンクールだけが留学への道ではありません。
エントリーする前に目的をしっかり定めましょう。
関連記事:
入賞してもプロになれるとは限らない
有名なコンクールになると、過去の入賞者で現在はプロで活躍されている方がたくさんいます。
ただ、入賞さえすればプロになれるわけではありません。
入賞をきっかけに、ますます努力してプロダンサーになった方もいれば、
入賞したことが逆にプレッシャーになり踊りそのものを辞めてしまう人もいます。
よくコンクールは通過点と言われますが、まさにその通りだと思います。
そこを理解しておくことは大事なことです。
メリット・デメリットを把握した上で、目標や目的に応じてしっかり選んでコンクールに参加しましょう
いかがでしたか?
私の独断で勝手に考察してみましたが、あながち間違ってはいないと思っています。
教室の先生にすすめられたからとか、お友達も出るから、などといった理由ではなく、
そもそも何のためにこのコンクールに出るのか、コンクールに出てその後をどうしたいのか。
子どもさんとコンクールへのエントリーを決める前にはしっかり話をして、目的・目標をはっきりさせて挑戦させてあげましょう。
目的意識を持つことで、コンクールへの取り組み方も変わってきます。
バレエコンクールには、メリットもデメリットもあります。
そしてそれはひとりひとり違います。
親としては、バレエ教室の先生におまかせしすぎず、かといって過保護になりすぎないちょうどいい距離感で、子どものバレエコンクールを考えて応援していきましょう。