この記事を読んでいただくと、子どもがどうしてバレエを辞めたいと思うのか、その理由を把握することができます。
親として子どもの悩みや不安を取り除く方法を考えたり確認しておくことができるので、いざという時に慌てず対応することができて、あとから後悔することが少なくなります。
前回の記事では、『小学校低学年までの子どもがバレエを辞めたい理由』をまとめてみました。
後編の今回はその後の『思春期以降の子どもたちがバレエを辞めたい理由』について考察しています。
部活がしたいとか、学校の勉強がたいへんというわけではないようです。
せっかくここまで続けてきて、
コンクールでも決選まで行けるようになったのに、
親としてはもう少し続けたらいいのにと思うんですけど、
どう対応したらよいか困っています。
当時の私もそうでした。
思春期以降の子どもは心も身体もかなり複雑です。
ここでは3つのポイント、
学校生活・学業、身体の変化、バレエとの距離間(向き合い方)
という、この年代がかかえる悩みを大きく分けて考察してみました。
バレエを辞めたい理由1:学校生活・学業
小学校高学年以降は、学校の勉強や行事、受験などスケジュール的にも忙しくなってきます。
特に中学生以降にバレエを続けていこうとすると、
人気アイドルなみの忙しさになることは必須です。(注:本気バレエの場合)
そして、そことの両立で悩む子どもが多いようで、親としては相談にのったり、
アドバイスするといったことが必要になってきます。
ひとつずつみていきましょう。
勉強との両立
- 上手な時間の使い方を考える
- すきま時間をうまく利用する
小学校高学年になってくると、学校の授業も難しくなり宿題も多めになってきてますし、終業時間も遅くなってきます。
遠めのバレエ教室に通っている場合はレッスン時間に間に合わないということも出てくるかもしれません。
また塾通いや、中学生以降は定期試験の勉強、受験勉強と勉強時間はどうしても多く必要になってきます。
そこを心配してバレエを辞めるように促す保護者さんもいますし、自ら辞める決断をする子もいます。
経験からお話しすると、バレエを頑張っている子どもたちは時間の使い方が上手な子が多い印象です。(うちの子は棚に上げてます笑)
バレエのレッスンで忙しく、勉強時間もさほど取れないであろうに、
学校の成績が良い子は多くいました。
ママに聞くと、すき間時間の活用や、バレエの無い日に塾へ行く、
宿題は学校で終わらせるなど工夫しているようで、うちの娘たちもマネしていましたね。
あと受験の内申点を上げるためにも、遅刻や欠席、授業態度や提出物などの学校生活の基本をしっかりすることは大事です。
小学生・中学生で本気でバレエをしている子は本当に勉強時間が足りませんよね。
塾に通うにも時間がなかなか取れないし、費用も結構かかります。。
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また受験前などは一時的にでも家庭教師をつけることも有効です
部活
- バレエとのかかわり方を決める
中学生になると部活動が始まります。
どの学校も強制ではないと思いますが、子どもにとっては興味のあることにチャレンジする良い機会です。
高校受験の内申点にも影響したりします。
ただ、バレエを習っていると部活動と両立することはなかなか難しくなります。
バレエ教室や、バレエとのかかわり方にもよると思いますが、
バレエのレッスン時間と部活動の時間はほぼ一致します。
本気(プロを目指す)でバレエをしていく場合は、ほぼ毎日それこそバレエが部活といってよいほど、いやそれ以上の練習量になるので、両立ははっきり言って難しいです。
受験
- その先(高校生以降)のバレエとの向き合い方を考える
- 家庭の経済的事情も考慮する
中学受験、高校受験、大学受験とバレエの両立はなかなか厳しいものがあります。
特に高校受験では、受験というものを初めて経験する子も多く、
バレエとの両立を難しく感じて、受験までの半年~1年お休みをするという子もいます。
ですが私が見てきた経験上、受験で完全にお休みした子で再びバレエ教室に戻ってくる子は少ないです。
辞めてしまう理由はいろいろあると思いますが、おもに下記のようなものでしょうか。
- 身体の変化(身体が硬くなる、体重増加、体型変化、など)
- バレエ以外の楽しみをみつける(塾の友達と仲良くなる、彼氏ができる、など)
- 高校生活が楽しい
ここでは詳しいことは書きませんが、
受験後もバレエを続けていくつもりなら完全に休むことはせず、
それまでほぼ毎日バレエ教室に行っていたのであれば、
せめて週に2回でも1回でもいいのでレッスンに行くことをおススメします。
また、中学生の頃は最もバレエの技術や表現力などが伸びる時期でもあります。
その中学生の時期に高校受験で休まなくてもいいようにと中学受験をする子どももいます。
ただ中高一貫校は基本的に私立です。
バレエも中学高校と年齢が上がるにつれて、コンクール参加や発表会での主要な役を頂くなど費用も増えてきます。
親としては、中学受験に関しては経済的なことも考えておきましょう。
話はもどりますが、高校に関しては、ご家庭の方針や子どもの状況によって選択はいろいろです。
本気でバレエを頑張るのであれば、
地域によってはバレエのレッスンが授業に組み込まれている学校や、
バレエを優先してくれる学校、
通信制・単位制などある程度時間の融通が利く学校などもあります。
親としては、バレエ教室のお姉さんたちが行っている学校を参考に、
地域の高校事情を早めに調べておいてもよいかもしれません。
時期がきて必要であればすぐに子どもに提案できるようにしておくとよいのではないでしょうか。
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バレエを辞めたい理由2:からだの変化
女の子は思春期以降になると、身体のラインがそれまでの子ども体型から女性らしい体型へとは変わってきます。
バレエは、レオタードという身体のラインがはっきりと見えるものを着てレッスンをするので、いや応なしに自分の身体と向き合うことになります。
バレエをしていない子に比べると悩みが深刻になりがちです。
体型が変化し始めたころから、自分のレオタード姿を鏡で見るのが嫌!と言ってましたね。
このからだの変化の悩みに関しては、とくに同性である母親のサポートが必要になってくると思います。
また、男の子は身長の伸びを気にする子も増えてきます。
※関連記事:バレエ男子必見!プロを目指すなら身長は必須/現実と対策を考えよう
体型
子ども時代は細めの体型だった子も、思春期を迎えると身体に丸みがついてきます。
生理が始まるとそれが顕著に表れます。
ただその時期が早い子もいれば遅い子もいるという成長に個人差があることが悩みの原因になることが多いです。
成長の早い子は、他の子はまだ細い子ども体型なのに、自分だけ太ってきたと勘違いするようになります。
遺伝的に何を食べても全く太らないという子もまれにいますが(うらやましい!)、ほとんどの子は時期がくれば大人の体型に変化していきます。
けれどそこがわかっていないと、成長の早い子は、体型を気にして辞めてしまうケースが案外多いです。
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生理
女性なら誰しも一度は生理が無ければどんなに楽なことか。
と思ったことがあるのではないでしょうか。
普通の人でもそう思うのに、バレエ女子たちはもっと大変です。
生理痛や漏れ・ニオイのことなど悩みは尽きません。
直接的な辞める原因になることは少ないとは思いますが、他の要因と合わせて、
バレエを辞めたら”極度のわずらわしさから普通のわずらわしさへ低減する”と思う子も多いことでしょう。
体毛
これは子どもの体質によると思いますが、思春期くらいになると急に体毛が濃くなる子どもがます。
子どもが気にして悩んでいる場合は対策を考えてあげてくださいね。
体臭
個人差はありますが、思春期以降は女性も体臭が気になるケースがあります。
特にわきがは、バレエ女子には大敵です。
案外本人が気が付いていない場合もあります。
おうちの方が気になった時に、制汗剤などを教えて使うように促してみても良いと思います。
また、バレエシューズやトゥシューズのニオイは、足汗と雑菌が混ざって悪臭を放出します。
レッスンから帰ったら、疲れていてもバッグから取り出し、乾燥剤などを入れて悪臭を取り除くように習慣化させましょう。
また、体臭やワキガの程度を測定して、ケア方法を提案してくれる評価キットもあります。
背中ニキビ
背中のニキビも悩んでいる子がたまにいます。
背中のニキビは顔にできるニキビと違うので、専用のケア用品を使うか、
皮膚科に行って背中ニキビに合ったお薬を処方してもらいましょう。
子どもが気にして悩んでいる場合は対策を考えてあげてくださいね。
バレエを辞めたい理由3:バレエとの距離間(向き合い方)
日本でバレエを習う場合、バレエとの向き合い方はさまざまです。
- 習い事として習っている子
- プロを目指している子
- バレエの先生になりたい子
- 趣味や体力作りとして習っている子
などなど、どんな関わり方をしても他人がとやかく言うことではありません。
だからこそ、思春期以降のこの年代で、この関わり方・向き合い方で悩む子どもたちがいます。
とくに、本気バレエとして取り組んできた場合は、時間も費用もそれなりにかかっています。
親のほうとしても、辞めてしまうのはもったいないと思う方も多いのではないでしょうか。
私はそうでした。
子どもの方も、それが何となくわかっているから言い出しにくく、
より悩みを深めているかもしれません。
バレエとの向き合い方を決めるのは、最終的に子ども自身です。
基本的に親ができることは多くありません。
そばで見守る、子どもから相談があれば相談にのる、アドバイスするというスタンスで、
先回りしてあれこれすることは避けた方がよいと思います。
ただ、相談されたときに慌てないように知識の準備はしておいてもよいと思うのでこの項目もまとめてみました。
バレエに対する情熱がさめる
コンクールや発表会といった少し先の目標に向かって頑張って、その到達点を超えたときに燃え尽き症候群のようになってしまうことがあります。
やるだけやったという満足感と、あんなに頑張ったのにこの結果、といろんな感情が入り交じっているようです。
自信を無くして、自分の限界を感じる
小学生の頃は、将来はプロのバレリーナになる!と言って頑張ってレッスンをしてきた子どもも、年齢が上がるにつれて自分の限界を感じてしまうことがあります。
- 今日のレッスンでも先生に注意されてしまった。
- 発表会で大きなミスをしてしてしまった。
- コンクールで決選にいけなかった。入賞できなかった。
そこで、もっと頑張ろうとなる場合はよいのですが、そうでない場合、
ネガティブ思考になってしまった時に、さらに他の要因が重なったりすると一気に辞めたいとなるようです。
ここに関して、親ができることはあまりないように思います。
家族はいつもそばにいてあなたの味方だよということを伝えて、
あとはそっとしておいてあげるのが一番かもしれません。
この年代はあれこれ聞かれたり、自分でわかっていることを親から言われたりすることを極端に嫌いますよね。
何か相談してきたら話を聞く、アドバイスを求めてきたらアドバイスする、くらいがちょうどよいかと思います。
プレッシャー
バレエの舞台に立つということは、本当にすごいことだと思います。
ましてやコンクールなどでひとりで踊り、審査員にジャッジしてもらうとなると相当なプレッシャーです。
表には出していなくても、心の中でプレッシャーと戦っている子どもは多いです。
バレエを辞めればこのプレッシャーから解放されると思っているかもしれません。
親としては、頑張っている子どもをリスペクトして、そばで見守ってあげましょう。
他の項目と同じで親ができることは多くありませんが、
コンクールに出ることがプレッシャーになっているのであれば、
しばらくコンクールに出ないという選択もありかと思います。
強制ではないのですから。
いずれにしても、何かあれば相談してね、つらいことがあれば話を聞くよというスタンスでいてあげましょう。
親ができることは【話を聞くこと】と【見守ること】
思春期以降の子どもの多くは、それ以前の子どものように親の言うことを素直に聞くことは少なくなります。
子どもがバレエを辞めたいと言ってきたら話を聞くことと見守ることが大切です。
- まず話を聞く。(なぜ辞めたいと思うのか)
- 理由がはっきりしていて、親も納得することであれば辞める選択もあり
- 今日明日のレッスンにも行きたくないようであれば休ませてみる
- 悩みがはっきりしている場合は、解決策を考えたり提案してみる
- 理由がよくわからない場合(子供自身も)少し先の目標地点(コンクールとか発表会など)までは頑張らせてみる
- 辞めて空いた時間に何をするか考えてみるよう促す
上記のようなことを試してみても意思が変わらない場合は、
一度バレエから離れてみるのも悪くありません。
はなれてみて、改めて見えてくるものもあると思います。
下記は、ローザンヌ本選出場、バレエ留学から一転、客室乗務員として働いたのちに
27歳で新国立劇場バレエ団員となられた根岸祐衣さんのニュース動画です。
人生一度きりという彼女の言葉に勇気づけられます。
そもそもバレエであれ何であれ、誰だって楽しくなければ続けることは難しいですよね。
お子さんが、楽しくバレエを続けられるように、できる範囲でサポートしてあげていってくださいね。